交通事故

⑤ 神経系統の機能又は精神の後遺障害

1 神経系統の機能又は精神の後遺障害の種類

神経系統の機能又は精神の後遺障害には、次のものがあります。

(1) 障害等級表上の後遺障害の種類

神経系統の機能又は精神の障害について、障害等級表は、A 神経系統の機能又は精神の障害と、B 局部の神経系統の障害、に分けて等級を定めています。

(2) 障害等級表

神経系統の機能又は精神の後遺障害のの障害等級表は、次のとおりです。なお、表が崩れて見えにくい方は、こちらをご覧ください。→ 神経系統の機能又は精神の障害等級表

部位等級障害の程度
神経系統又は精神の障害別表第一第1級1号神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、常に介護を要するもの
別表第二第2級1号神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、随時介護を要するもの
第3級3号神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの
第5級2号神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの
第7級5号神経系統の機能又は精神に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの
第9級10号神経系統の機能又は精神に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの
局部の神経系統の障害第12級13号局部に頑固な神経症状を残すもの
第14級9号局部に神経症状を残すもの

2 神経系統又は精神の障害

(1) 神経系統又は精神の障害の具体的な種類

神経系統の機能又は精神の障害に該当する具体的な障害は、次のように分類されています。

A 脳の障害

(A) 脳の器質性障害

① 高次脳機能障害(器質的精神障害)

② 身体性機能障害(神経系統の傷害)

(B) 脳の非器質性障害 - 脳の器質的損傷を伴わない精神障害(非器質性精神障害)

B せき髄の障害

C 末梢神経障害

D その他特徴的障害

① 外傷性てんかん

② 頭痛

③ 失調、めまい及び平衡機能障害

④ 疼痛等感覚障害 - 疼痛、疼痛以外の感覚障害、カウザルギー、反射性交感神経性ジストロフィ(RSD)

(2) 神経系統又は精神の後遺障害の認定基準

(2)ー ① 高次脳機能障害  - 脳の器質性障害

ア 高次脳機能障害の意義

人間の脳の機能(役割)のうち、認知、行為(の計画と正しい手順での遂行)、記憶、思考、判断、言語、注意の持続といった人間らしい行動を可能にする機能を、高次脳機能といいます。

そして、脳の損傷によりこうした高次脳機能に障害がでるのが高次脳機能障害です。

イ 高次脳機能障害の具体的な症状

典型的な症状としては、次のものがあるとされます。

① 認知障害 記憶・記銘力障害、注意・集中力障害、遂行機能障害など。

② 行動障害 周囲の状況に合わせた適切な行動ができない、複数のことを同時に処理できない、職場や社会のマナーやルールを守れない、話が回りくどく要点を相手に伝えることができない、行動を抑制できない、危険を予測・察知して会費的行動をすることができない、など。

③ 人格変化 受傷前には見られなかった発動性低下や抑制低下など。

こうした症状により、社会復帰が困難となるケースが多くみられます。

ウ 高次脳機能障害の等級の判断基準

高次脳機能障害については、次の4つの能力(以下、「4能力」といいます。)の各々の喪失の程度に着目して、評価を行います。

① 意思疎通能力

② 問題解決能力

③ 作業不可に対する持続力・持久力

④ 社会行動能力

なお、こうした評価の際には、高次脳機能障害整理表を参考にすることとされています。

また、高次脳機能障害は、脳の器質的病変に基づくものであることから、MRI,CTなどによりその存在が認められることが必要とされています。

ⅰ 「高次脳機能障害のため、生命維持に必要な身のまわり処理の動作について、常に他人の介護を要するもの」は、第1級1号に該当します。

以下の(ⅰ)または(ⅱ)が該当します。

(ⅰ) 重篤な高次脳機能障害のため、食事・入浴・用便・更衣等常時介護を要するもの

(ⅱ) 高次脳機能障害による高度の認知症や情意の荒廃があるため、常時監視を要するもの

ⅱ 「高次脳機能障害のため、生命維持に必要な身のまわり処理の動作について、随時介護を要するもの」は、第2級1号に該当します。

以下の(ⅰ)、(ⅱ)または(ⅲ)が該当します。

(ⅰ)  重篤な高次脳機能障害のため、食事・入浴・用便・更衣等随時介護を要するもの

(ⅱ) 高次脳機能障害による高度の認知症や情意の障害、幻覚、妄想、頻回の発作性意識障害のため随時他人による監視を必要とするもの

(ⅲ)重篤な高次脳機能障害のため自宅内の日常生活動作は一応できるが、1人で外出することなどが困難であり、外出の際には他人の介護を必要とするため、随時他人の介護を必要とするもの

ⅲ 「生命維持に必要な身のまわり処理の動作は可能であるが、高次脳機能障害のため、労務に服することができないもの」は、第3級3号に該当します。

以下の(ⅰ)または(ⅱ)が該当します。

(ⅰ)  4能力のいずれか1つ以上の能力が全部失われているもの

(ⅱ) 4能力のいずれか2つ以上の能力の大部分が失われているもの

ⅳ 「高次脳機能障害のため、きわめて軽易な労務のほか服することができないもの」は、第5級2号に該当します。

以下の(ⅰ)または(ⅱ)が該当します。

(ⅰ) 4能力のいずれか1つ以上の能力が大部分失われているもの

(ⅱ) 4能力のいずれか2つ以上の能力の半分程度が失われているもの

ⅴ 「高次脳機能障害のため、軽易な労務にしか服することができないもの」は、第7級5号に該当します。

以下の(ⅰ)または(ⅱ)が該当します。

(ⅰ)  4能力のいずれか1つ以上の能力の半分程度が失われているもの

(ⅱ) 4能力のいずれか2つ以上の能力の相当程度が失われているもの

ⅵ 「通常の労務に服することはできるが、高次脳機能障害のため、社会通念上、その就労可能な職種の範囲が相当な程度に制限されるもの」は、第9級10号に該当します。

高次脳機能障害のため、4能力のいずれか1つ以上の能力の相当程度が失われているものが該当します。

ⅶ 「通常の労務に服することはできるが、高次脳機能障害のため、多少の障害を残すもの」 は、第12級13号に該当します。

4能力のいずれか1つ以上の能力が多少失われているものが該当します。

ⅷ 「通常の労務に服することはできるが、高次脳機能障害のため、軽微な障害を残すもの」は、第14級9号に該当します。

MRI、CT等による他覚的所見は認められないものの、脳損傷があることが医学的にみて合理的に推測でき、高次脳機能障害のためわずかな能力喪失が認められるものが該当します。

(2)- ② 身体性機能障害 - 神経系統の器質性障害

ア 身体性機能障害等級の認定方法

脳の損傷による身体性機能障害については、麻痺の範囲及び麻痺の程度、並びに、介護の有無及び介護の程度により障害等級を認定します。

麻痺の程度については、運動障害の程度をもって判断するのが原則です。

なお、麻痺の範囲及び麻痺の程度については、身体指定所見及びMRI,CTなどによって裏付けることのできることが必要とされています。

イ 麻痺の種類

麻痺の種類には、次の4つがあります。

① 四肢麻痺 - 両側の四肢の麻痺

② 片麻痺  - 一側上下肢の麻痺

③ 対麻痺  - 両下肢又は両上肢の麻痺

④ 単麻痺  - 上肢又は下肢の一肢のみの麻痺

ウ 麻痺の程度

麻痺の程度は、以下の通り、高度、中等度、軽度に3つに分類されます。

① 高度の麻痺

障害のある上肢または下肢の運動性・支持性がほとんど失われ、障害のある上肢または下肢の基本動作(上肢においては物を持ち上げて移動させること、下肢においては歩行や立位)ができない程度の麻痺をいいます。

具体的には、以下のものをいいます。

a 完全強直またはこれに近い状態にあるもの

b 上肢においては、三大関節および5つの手指のいずれの関節も自動運動によっては可動させることができないもの又はこれに近い状態にあるもの

c 下肢においては、三大関節のいずれも自動運動によっては可動させることができないもの又はこれに近い状態にあるもの

d 上肢においては、随意運動の顕著な障害により、障害を残した一上肢では物を持ち上げて移動させることができないもの

e 下肢においては、随意運動の顕著な障害により、一下肢の支持性および随意的な運動性をほとんど失ったもの。

② 中等度の麻痺

障害のある上肢又は下肢の運動性・支持性が相当程度失われ、障害のある上肢又は下肢の基本動作にかなりの制限があるものをいいます。

例えば次のようなものがあるとされています。

a 上肢においては、障害を残した一上肢では仕事に必要な軽量の物(概ね500グラム)を持ち上げることができないもの又は障害を残した一上肢では文字を書くことができないもの。

b 下肢においては、障害を残した一下肢を有するため杖もしくは硬性装具なしには階段を上ることができないもの又は障害を残した両下肢を有するため杖もしくは硬性装具なしには歩行が困難であるもの。

③ 軽度の麻痺

障害のある上肢又は下肢の運動性・支持性が多少失われており、障害のある上肢又は下肢の基本動作を行う際の巧緻性および速度が相当程度失われているものをいいます。

例えば、次のようなものがあるとされています。

a 上肢においては、障害を残した一上肢では文字を書くことに困難を伴うもの

b 下肢においては、日常生活は概ね独歩であるが、障害を残した一下肢を有するため不安定で転倒しやすく、速度も遅いもの又は障害を残した両下肢を有するため杖もしくは硬性装具なしには階段を上ることができないもの。

エ 身体性機能障害の具体的な等級認定

身体性機能障害については、以下の基準によって、第1級から第12級までのうち7段階で認定します。

ⅰ 「身体性機能障害のため、生命維持に必要な身のまわり処理の動作について、常に他人の介護を要するもの」は、第1級1号に該当します。

以下のものが該当します。

(ⅰ) 高度の四肢麻痺が認められるもの

(ⅱ) 中等度の四肢麻痺であって、食事・入浴・用便・更衣等について常時介護を要するもの

(ⅲ) 高度の片麻痺であって、食事・入浴・用便・更衣等について常時介護を要するもの

ⅱ 「身体性機能障害のため、生命維持に必要な身のまわり処理の動作について、随時介護を要するもの」は、第2級1号に該当します。

以下のものが該当します。

(ⅰ) 高度の片麻痺が認められるもの

(ⅱ) 中等度の四肢麻痺であって、食事・入浴・用便・更衣等について随時介護を要するもの

ⅲ 「生命維持に必要な身のまわり処理の動作は可能であるが、身体性機能障害のため、労務に服することができないもの」は、第3級3号に該当します。

中等度の四肢麻痺(上記の[a」または「b」に該当するものを除きます。。)が認められるものが該当します。

ⅳ  「身体性機能障害のため、特に軽易なな労務のほか服することができないもの」は、第5級2号に該当します。。

以下のものが該当します。

(ⅰ) 軽度の四肢麻痺が認められるもの

(ⅱ) 中等度の片麻痺が認められるもの

(ⅲ) 高度の単麻痺が認められるもの

ⅴ 「身体性機能障害のため、軽易な労務以外には服することができないもの」は、第7級4号に該当します。

以下のものが該当します。

(ⅰ)  軽度の片麻痺が認められるもの

(ⅱ) 中等度の単麻痺が認められるもの

ⅵ 「通常の労務に服することはできるが、身体性機能障害のため、社会通念上、その就労可能な職種の範囲が相当な程度に制限されるもの」は、第9級10号に該当します。

軽度の単麻痺が認められるものが該当する。

ⅶ 「通常の労務に服することはできるが、身体性機能障害のため、多少の障害を残すもの」は、第12級13号に該当します。

運動性、支持性、巧緻性及び速度についての支障がほとんど認められない程度の軽微な麻痺を残すものが該当する。

また、運動障害は認められないものの、広範囲にわたる感覚障害が認められるものも該当する。

(2) - ③ 脳の非器質性障害 - 非器質性精神障害

脳の器質的損傷を伴わない精神証が(非器質性精神障害)については、以下の基準によるとされています。

ア 非器質性精神障害の後遺障害の認定方法

非器質性精神障害の後遺障害が存在しているというためには、以下の「a 精神情状」のうち1つ以上の精神症状を残し、かつ、「b 能力に関する判断項目」のうち1つ以上の能力について障害が認められる必要があります。

a 精神症状b 能力に関する判断項目
① 抑うつ症状① 身辺日常生活
② 不安の状態② 仕事・生活に積極性・関心を持つこと
③ 意欲低下の状態③ 通勤・勤務時間の遵守
④ 慢性した幻覚・妄想性の状態④ 普通に作業を持続すること
⑤ 記憶又は知的能力の障害⑤ 他人との意思伝達
⑥ その他の障害(小動静の障害、不定愁訴など)⑥ 対人関係・協調性
⑦ 身辺の安全保持、機器の会費
⑧ 困難・失敗への対応

イ 就労意欲の低下などにより区分した認定方法

a 就労しているもの、又は、就労の意欲はあるものの就労していない者について

上記「ア」の表の「a 精神症状」のいずれか1つ以上が認めらる場合に、上記アの表の「b 能力に関する判断項目」の各々について、その有無及び助言・援助の程度により傷害等級を認定します。

b 就労意欲の低下、又は、欠落ににより就労していない者について

身辺日常生活が可能である場合に、上記「ア」の表の「b 能力に関する判断項目」の①の身辺日常生活の支障の程度により認定します。

ウ 障害の程度に応じた具体的な認定

非器質性精神障害は、具体的には、次の3段階に区分して認定します。

ⅰ  「通常の労務に服することはできるが、非器質性精神障害のため、就労可能な職種が相当な程度に制限されるもの」は、第7級4号に該当します。

以下の(ⅰ)又は(ⅱ)が該当します。

(ⅰ)  上記「イ a」に該当する場合には、判断項目のうち(2)~(8)のいずれか1つの能力が失われているもの又は判断項目の4つ以上についてしばしば助言・援助が必要と判断される障害を残しているもの

※ 例  非器質性精神障害のため、「対人業務につけない」ことによる職種制限が認められる場合

(ⅱ)  上記「イ b」に該当する場合には、身辺日常生活について時に助言・援助を必要とする程度の障害が残存しているもの

ⅱ 「通常の労務に服することはできるが、非器質性精神障害のため、多少の障害を残すもの」は、第12級13号に該当します。

以下の(ⅰ)又は(ⅱ)が該当する。

(ⅰ)  上記「イ a」に該当する場合には、判断項目の4つ以上について時に助言・援助が必要と判断される障害を残しているもの

※例  非器質性精神障害のため、「職種制限は認められないが、就労に当たりかなりの配慮が必要である」場合

(ⅱ)  上記「イ b」に該当する場合には、身辺日常生活を適切又は概ねできるもの

ⅲ  「通常の労務に服することはできるが、非器質性精神障害のため、軽微な障害を残すもの」は、第14級9号に該当します。

判断項目の1つ以上について時に助言・援助が必要と判断される障害を残しているものが該当します。

※例  非器質性精神障害のため、「職種制限は認められないが、就労に当たり多少の配慮が必要である」場合

(2)- ④ せき髄の障害

ア せき髄の後遺障害の認定方法

せき髄の損傷(第2腰椎以下のせき柱内の馬尾神経が損傷された場合も含む。以下同じ。)による後遺障害については、原則として、脳の身体性機能障害と同様に身体的所見及びMRI、CT等によって裏付けることのできる麻痺の範囲と程度により障害等級を認定するとされます。
ただし、せき髄損傷に伴う胸腹部臓器の障害やせき柱の障害による障害の等級が麻痺により判断される障害の等級よりも重い場合には、それらの障害の総合評価により等級を認定するとされます。
なお、せき髄損傷による障害が第3級以上に該当する場合には、介護の要否及び程度を踏まえて認定します。

イ せき髄の後遺障害の具体的な等級認定

ⅰ 「せき髄症状のため、生命維持に必要な身のまわり処理の動作について、常に他人の介護を要するもの」は、第1級1号に該当します。

以下のものが該当します。

(ⅰ)  高度の四肢麻痺が認められるもの

(ⅱ) 高度の対麻痺が認められるもの

(ⅲ)  中等度の四肢麻痺であって、食事・入浴・用便・更衣等について常時介護を要するもの

(ⅳ)  中等度の対麻痺であって、食事・入浴・用便・更衣等について常時介護を要するものイ

ⅱ 「せき髄症状のため、生命維持に必要な身のまわり処理の動作について、随時介護を要するもの」は、第2級1号に該当します。

以下のものが該当します。

(ⅰ) 中等度の四肢麻痺が認められるもの

(ⅱ) 軽度の四肢麻痺であって、食事・入浴・用便・更衣等について随時介護を要するもの

(ⅲ) 中等度の対麻痺であって、食事・入浴・用便・更衣等について随時介護を要するもの

ⅲ 「生命維持に必要な身のまわり処理の動作は可能であるが、せき髄症状のために労務に服することができないもの」は、第3級3号に該当します。。

以下のものが該当します。

(ⅰ)  軽度の四肢麻痺が認められるもの(上記イの(イ)に該当するものを除く。)

(ⅱ)  中等度の対麻痺が認められるもの(上記アの(エ)又はイの(ウ)に該当するものを除く。)

ⅳ 「せき髄症状のため、きわめて軽易な労務のほかに服することができないもの」は、第5級2号に該当します。

以下のものが該当します。

(ⅰ)  軽度の対麻痺が認められるもの

(ⅱ)  一下肢の高度の単麻痺が認められるもの

ⅴ 「せき髄症状のため、軽易な労務以外には服することができないもの」は、第7級4号に該当します。

一下肢の中等度の単麻痺が認められるものが該当します。

ⅵ 「通常の労務に服することはできるが、せき髄症状のため、就労可能な職種の範囲が相当な程度に制限されるもの」は、第7級4号に該当します。。

一下肢の軽度の単麻痺が認められるものが該当します。

ⅶ  「通常の労務に服することはできるが、せき髄症状のため、多少の障害を残すもの」は、第9級10号に該当します。

運動性、支持性、巧緻性及び速度についての支障がほとんど認められない程度の軽微な麻痺を残すものが該当します。

また、運動障害は認められないものの、広範囲にわたる感覚障害が認められるものも該当します。

(2)- ⑤ 末梢神経障害

末梢神経麻痺に係る等級の認定は、原則として、損傷を受けた神経の支配する身体各部の器官における機能障害に係る等級により認定します。

(2)- ⑥ 外傷性てんかん

外傷性てんかんに係る等級の認定は発作の型、発作回数等に着目し、以下の基準により認定します。よること。

ⅰ 1ヵ月に2回以上の発作がある場合には、通常高度の高次脳機能障害を伴っているので、脳の高次脳機能障害に係る第3級以上の認定基準により障害等級を認定します。

ⅱ 「1か月に1回以上の発作があり、かつ、その発作が「意識障害の有無を問わず転倒する発作」又は「意識障害を呈し、状況にそぐわない行為を示す発作」(以下「転倒する発作等」という。)であるもの」は、第5級2号に該当します。

ⅲ 「転倒する発作等が数ヶ月に1回以上あるもの又は転倒する発作等以外の発作が1ヵ月に1回以上あるもの」は、第7級4号に該当します。

ⅳ 「数ヵ月に1回以上の発作が転倒する発作等以外の発作であるもの又は服薬継続によりてんかん発作がほぼ完全に抑制されているもの」は、第9級10号に該当します。。

ⅴ  「発作の発現はないが、脳波上に明らかにてんかん性棘波を認めるもの」は、第12級13号に該当します。

(2)- ⑦ 頭痛

頭痛については、頭痛の型の如何にかかわらず、疼痛による労働又は日常生活上の支障の程度を疼痛の部位、性状、強度、頻度、持続時間及び日内変動並びに疼痛の原因となる他覚的所見により把握し、障害等級を認定します。

ⅰ  「通常の労務に服することはできるが激しい頭痛により、時には労働に従事することができなくなる場合があるため、就労可能な職種の範囲が相当な程度に制限されるもの」は、第9級10号に該当します。

ⅱ  「通常の労務に服することはできるが、時には労働に差し支える程度の強い頭痛がおこるもの」は、第12級13号に該当します。

ⅲ  「通常の労務に服することはできるが、頭痛が頻回に発現しやすくなったもの」は、第14級9号に該当します。

(2)- ⑧ 失調、めまい及び平衡機能障害

失調、めまい及び平衡機能障害については、その原因となる障害部位によって分けることが困難であるので、総合的に認定基準に従って障害等級を認定します。

ⅰ 「生命の維持に必要な身のまわり処理の動作は可能であるが、高度の失調又は平衡機能障害のために労務に服することができないもの」は第3級3号に該当します。

ⅱ  「著しい失調又は平衡機能障害のために、労働能力がきわめて低下し一般平均人の1/4程度しか残されていないもの」は、第5級2号に該当します。

ⅲ  「中等度の失調又は平衡機能障害のために、労働能力が一般平均人の1/2以下程度に明らかに低下しているもの」は第7級4号に該当します。

ⅳ  「通常の労務に服することはできるが、めまいの自覚症状が強く、かつ、眼振その他平衡機能検査に明らかな異常所見が認められ、就労可能な職種の範囲が相当な程度に制限されるもの」は、第9級10号に該当します。

e  「通常の労務に服することはできるが、めまいの自覚症状があり、かつ、眼振その他平衡機能検査の結果に異常所見が認められるもの」は、第12級13号に該当します。

f  「めまいの自覚症状はあるが、眼振その他平衡機能検査の結果に異常所見が認められないものの、めまいのあることが医学的にみて合理的に推測できるもの」は、第14の宇9号に該当します。

(2)- ⑨ 疼痛等感覚障害

Ⅰ  受傷部位の疼痛及び疼痛以外の感覚障害

次により認定します。

(ア)  疼痛

ⅰ 「通常の労務に服することはできるが、時には強度の疼痛のため、ある程度差し支えがあるもの」は、第12級13号に認定されます。

ⅱ 「通常の労務に服することはできるが、受傷部位にほとんど常時疼痛を残すもの」は、第14級9号に認定されます。

(イ) 疼痛以外の感覚障害

疼痛以外の異常感覚(蟻走感、感覚脱失等)が発現した場合は、その範囲が広いものに限り、第14級9号に認定されます。

Ⅱ  特殊な性状の疼痛

(ア)  カウザルギー

カウザルギーについては、疼痛の部位、性状、疼痛発作の頻度、疼痛の強度と持続時間及び日内変動並びに疼痛の原因となる他覚的所見などにより、疼痛の労働能力に及ぼす影響を判断して次のように等級の認定が行われます。

ⅰ  「軽易な労務以外の労働に常に差し支える程度の疼痛があるもの」は、第7級4号に認定されます。。

ⅱ 「通常の労務に服することはできるが、疼痛により時には労働に従事することができなくなるため、就労可能な職種の範囲が相当な程度に制限されるもの」は、第9級10号に認定されます。

ⅲ 「通常の労務に服することはできるが、時には労働に差し支える程度の疼痛が起こるもの」は、第12級13号に認定されます。。

(イ)  反射性交感神経性ジストロフィ(RSD)

反射性交感神経性ジストロフィ(RSD)については、(1)関節拘縮、(2)骨の萎縮、(3)皮膚の変化(皮膚温の変化、皮膚の萎縮)という慢性期の主要な3つのいずれの症状も健側と比較して明らかに認められる場合に限り、カウザルギーと同様の基準により、それぞれ第7級4号、第9級10号、第12級13号に認定されます。

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