交通事故

⑦ 胸腹部臓器の後遺障害

1 胸腹部臓器の後遺障害の種類

(1) 障害等級表上の後遺障害の種類

胸腹部臓器の障害等級表上の後遺障害には、A 胸腹部臓器の機能障害と、B 生殖器の障害があります。

(2) 障害等級表

胸腹部臓器の障害等級表は、次のとおりです。なお、表が崩れて見えにくい方は、こちらをご覧ください。→ 胸腹部臓器の障害等級表

等級障害の程度
別表第一第1級2号胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、常に介護を要するもの
第2級2号胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、随時介護を要するもの
別表第二第3級4号胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの
第5級3号胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの
第7級5号胸腹部臓器の機能に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの
第7級13号両方の睾丸を失ったもの
第9級11号胸腹部臓器の機能に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの
第9級17号生殖器に著しい障害を残すもの
第11級10号胸腹部臓器の機能に障害を残し、労務の遂行に相当な程度の支障があるもの
第13級11号胸腹部臓器の機能に障害を残すもの

2 胸腹部臓器の機能障害

(1) 胸腹部臓器の機能障害の具体的な種類

胸腹部臓器の機能障害に該当する具体的な後遺障害の種類は、次のとおりです。

A 胸腹部臓器の機能障害

① 呼吸器の障害

② 循環器の障害

③ 食道の障害

④ 胃の障害

⑤ 小腸の障害

⑥ 大腸の障害

⑦ 肝臓の障害

⑧ 胆のうの障害

⑨ すい臓の障害

⑩ じん臓の障害

⑪ 尿管、膀胱及び尿道の障害

B 生殖器の障害

(2) 胸腹部臓器の機能障害の認定基準

(2)- ① 呼吸器の障害

ア 呼吸器の障害の等級認定方法

(ア) 呼吸器の障害の判定方法には、次の3つがあります。

A 動脈血酸素分圧と動脈血炭酸ガス分圧の検査結果による判定

B スパイロメトリーの結果及び呼吸困難の程度による判定

C 運動負荷試験の結果による判定

(イ) 呼吸器の障害の等級認定方法は、次のとおりです。

原則として上記(ア)のAにより判定された等級とし、例外として、Aにより判定された等級よりBまたはCにより判定された等級の方が高い場合は、その等級とします。

イ 動脈血酸素分圧と動脈血炭酸ガス分圧の検査結果による判定

Ⅰ 動脈血酸素分圧が50Torr以下のもの

ⅰ 呼吸機能の低下により常時介護が必要なものは、第1級2号に該当します。

ⅱ 呼吸機能の低下により随時介護が必要なものは、第2級2号に該当します。

ⅲ 上記ⅰ及びⅱに該当しないものは、第3級4号に該当します。

Ⅱ 動脈血酸素分圧が50Torrを超え60Torr以下のもの

ⅰ 動脈血炭酸ガス分圧が限界値範囲(37Torr以上43Torr以下をいいます。以下に同じです。)にないもので、かつ、呼吸機能の低下により常時介護が必要なものは、第1級2号に該当します。

ⅱ 動脈血炭酸ガス分圧が限界値範囲にないもので、かつ、呼吸機能の低下により随時介護が必要なものは、第2級2号に該当します。

ⅲ 動脈血炭酸ガス分圧が限界値範囲にないもので、上記ⅰ及びⅱに該当しないものは、第3級4号に該当します。

ⅳ 上記ⅰ、ⅱ及びⅲに該当しないものは、第5級3号に該当します。

Ⅲ 動脈血酸素分圧が60Torrを超え70Torr以下のもの

ⅰ 動脈血炭酸ガス分圧が限界値範囲にないものは,第7級5号に該当します。

ⅱ 上記ⅰに該当しないものは、第9級11号に該当します。

Ⅳ  動脈血酸素分圧が70Torrを超えるもの

ⅰ 動脈血炭酸ガス分圧が限界値範囲にないものは、第11級10号に該当します。

ウ スパイロメトリーの結果及び呼吸困難の程度による判定

Ⅰ %1秒量35以下、又は、%肺活量40以下のもの

ⅰ 高度の呼吸困難が認められ、かつ、呼吸機能の低下により、常時介護が必要なものは、第1級2号に該当します。

ⅱ 高度の呼吸困難が認められ、かつ、呼吸機能の低下により、随時介護が必要なものは、第2級2号に該当します。

ⅲ 高度の呼吸困難が認められ、かつ、上記ⅰ及びⅱに該当しないものは、第3級4号に該当します。

ⅳ 中等度の呼吸困難が認められるものは、第7級5号に該当します。

ⅴ 軽度の呼吸困難が認められるものは、第11級10号に該当します。

Ⅱ %1秒量35を超え55以下、又は、%肺活量40を超え60以下のもの

ⅰ 高度、又は、中等度の呼吸困難が認められるものは、第7級5号に該当します。

ⅱ 軽度の呼吸困難が認められるものは、第11級10号に該当します。

Ⅲ %1秒量55を超え70以下、又は、%肺活量60を超え80以下のもの

ⅰ 高度、又は、中等度の呼吸困難が認められるものは、第11級10号に該当します。

エ 運動負荷試験の結果による判定

上記「イ」び「ウ」による判定では障害等級に該当しないものの、呼吸機能の低下による呼吸困難が認められ、運動負荷試験の結果から明らかに呼吸機能に障害があると認められるものは、第11級10号に該当します。

(2)- ② 循環器の障害

Ⅰ 心機能が低下したもの

心筋梗塞や狭心症、心臓外傷などの後遺症状により心機能が低下したものの障害等級は、心機能の低下による運動態様能の低下の程度により、以下のように認定します。

心機能が低下したものの後遺障害等級は、心機能の低下による運動耐容能の低下の程度により、次の通り認定されるます。

ⅰ 心機能の低下による運動耐容能の低下が中等度(おおむね6METsを超える強度の身体活動が制限されるもの)であるものは、第9級11号に該当します。

ⅱ 心機能の低下による運動耐容能の低下が軽度(おおむね8METsを超える強度の身体活動が制限されるもの)であるものは、第11級10号に該当します。

Ⅱ 除細動器、又は、ペースメーカーを植え込んだもの

ⅰ 「除細動器を植え込んだもの」は、第7級5号に該当します。

ⅱ 「ペースメーカーを植え込んだもの」は、第9級11号に該当します。

Ⅲ 房室弁、又は、大動脈弁を置換したもの

ⅰ 継続的に抗凝血薬療法を行うものは、第9級11号に該当します。

ⅱ 上記「ⅰ」以外は、第11級10号に該当します。

Ⅳ 大動脈に解離を残すもの偽腔開存型の解離を残すもの

第11級10号に該当します。

(2)- ③ 食道の障害

ⅰ「食道の狭さくによる通過障害を残すもの」は、第9級11号に該当します。

「食道の狭さくによる通過障害」とは、次のいずれかに該当するものをいいます。

a 通過障害の自覚症状があること

b 消化管造影検査により、食道の狭窄による造影剤のうっ滞が認められること

(2)- ④ 胃の障害

Ⅰ 胃の後遺障害等級の認定方法

胃の後遺障害は、胃の切除により生じる症状の有無により、次のとおり認定されます。

ⅰ 消化吸収障害、ダンピング症候群及び胃切除術後逆流性食道炎のいずれもが認められるものは、第7級5号に該当します。

ⅱ 消化吸収障害、ダンピング症候群が認められるものは、第9級11号に該当します。

ⅲ 消化吸収障害、胃切除術後逆流性食道炎がみとめられるものは、第9級11号に該当します。

ⅳ 消化吸収障害、ダンピング症候群及び胃切除術後逆流性食道炎のいずれかが認められるものは、第11級10号に該当します。

ⅴ 噴門部又は幽門部を含む胃の一部を亡失したものは、第13級11号に該当します。

Ⅱ 胃の切除による症状の判断方法

胃の切除により生じる症状の有無は、次のように判断します。

a 上記「Ⅰ」において「消化吸収障害が認められる」とは、以下のいずれにも該当するものをいいます。

(a) 胃の全部を亡失したこと

(b) 噴門部又は幽門部を含む位の一部を亡失し、低体重など(BMIが20以下であるものをいう。ただし、事故前からBMIが20以下であったものについては、事故前よりも体重が10パーセント以上減少したものをいいます。以下に同じです。)が認められること。

b 上記「Ⅰ」における「ダンピング症候群が認められる」とは、以下のいずれにも該当するものをいいます。

(a) 胃の全部もしくは幽門部を含む胃の一部を亡くしたこと

(b) 食後30分以内に出現するめまい、起立不能などの早期ダンピング症候群に起因する症状又は食後2時間後ら3時間後に出現する全身脱力感、めまいなどの晩期ダンピング症候群に起因する症状が認められること

c 上記「Ⅰ」における「胃切除術後逆流性食道炎が認められる」とは、以下のいずれにも該当するものをいいます。

(a) 胃の全部もしくは噴門部を含む胃の一部を亡失したこと
(b) 胸焼け、胸痛、臙下困難などの胃切除術後逆流性食道炎に起因する自覚症状があること

(c) 内視鏡検査によって食道にびらん、潰痕などの胃切除術後逆流性食道炎に起因する所見が認められること

(2)- ⑤ 小腸の障害

Ⅰ 小腸を大量に切除したもの

ⅰ 残存する空腸及び回腸の長さが100cm以下となったものは、第9級11号に該当します。

ⅱ 残存する空腸及び回腸の長さが100cmを超え300cm未満となったもので、消化吸収障害が認めれらるものは、第11級10号に該当します。

Ⅱ 人工肛門を造設したもの

ⅰ 小腸内容が漏出することによりストマ周辺に著しい皮膚のびらんを生じ、パウチ等の装着ができないものは、第5級3号に該当します。

ⅱ 上記「ⅰ」に該当しないものは、第7級5号に該当します。

Ⅲ 小腸皮膚瘻を残すもの

ⅰ 瘻孔から小腸内容の全部又は大部分が漏出するもの

(ⅰ) 小腸内容が漏出することにより小腸皮膚瘻周辺に著しい皮膚のびらんを生じ、 パウチ等の装着ができないものは、第5級3号に該当します。

(ⅱ) それ以外は、第7級5尾豪に該当します。

ⅱ 瘻孔から漏出する小腸内容がおおむね100ml/日以上のもの

(ⅰ) パウチ等による維持管理が困難であるものは、第7級5号に該当します。

(ⅱ) 上記「ⅰ」に該当しないものは、第9級11号に該当します。

ⅲ 瘻孔から少量ではあるが明らかに小腸内容が漏出する程度のものは、第11級10号に該当します。

Ⅳ 小腸の狭さくを残すもの

第11級10号に該当します。

「小腸の狭さく」とは次のいずれにも該当するものをいいます。

a 1か月に1回程度、腹痛、胸腹部膨満感、嘔気、嘔吐などの症状が認められること

b 単純エックス線像においてケルクリングひだ像が認められること

(2)- ⑥ 大腸の障害

Ⅰ 大腸を大量に切除したもの結腸のすべてを切除するなど大腸のほとんどを切除したもの

第11級10号に該当します。

Ⅱ 人工肛門を造設したもの

ⅰ 小腸内容が漏出することによりストマ周辺に著しい皮膚のびらんを生じ、パウチ等の装着ができないものは、第5級3号に該当します。

ⅱ 上記「ⅰ」に該当しないものは第7級5号に該当します。

Ⅲ 大腸皮膚瘻を残すもの

ⅰ 瘻孔から大腸内容の全部又は大部分が漏出するもの

(ⅰ) 大腸内容が漏出することにより大腸皮膚瘻周辺に著しい皮膚のびらんを生じ、 パウチ等の装着ができないものは、第5級3号に該当します。

(ⅱ) それ以外は、第7級5号に該当します。

ⅱ 瘻孔から漏出する大腸内容がおおむね100ml/日以上のもの

(ⅰ) パウチ等による維持管理が困難であるものは、第7級5号に該当します。

(ⅱ) 上記「ⅰ」に該当しないものは、第9級11号に該当します。

ⅲ 瘻孔から少量ではあるが明らかに大腸内容が漏出する程度のものは、第11級1号に該当します。

Ⅳ 大腸の狭さくを残すもの

第11級10号に該当します。

「大腸の狭さく」とは、次のいずれにも該当するものをいいます。

a 1か月に1回程度、腹痛、胸腹部膨満感などの症状が認められること

b 単純エックス線像において、貯留した大量のガスにより結腸傍記像が相当区間認められること

Ⅴ 便秘を残すもの

ⅰ 用手摘便を要すると認められるものは、第9級11号に該当します。

ⅱ 上記「ⅰ」に該当しないものは、第11級10号に該当します。

※なお、「便秘」とは、次のいずれにも該当するものをいいます。

a 排便反射を支配する神経の損傷がMRI、CT等により確認できること。

b 便回数が週2回以下の頻度であって、恒常的に硬便であると認められること

Ⅵ 便失禁を残すもの

ⅰ 完全便失禁を残すものは、第7級5号に該当します。

ⅱ 常時おむつの装着が必要なものは、第9級11号に該当します。

ⅲ 常時おむつの装着は必要ないものの、明らかに便失禁があると認められるものは、第11級10号に該当します。

(2)- ⑦ 肝臓の障害

ⅰ 肝硬変

肝硬変(ウイルスの持続感染が認められ、かつ、AST・ALTが持続的に定置であるものに限る。)は、第9級11号に該当します。

ⅱ 慢性肝炎

慢性肝炎(ウイルスの持続感染が認められ、かつ、AST・ALTが持続的に定置であるものに限る。)は、第11級10号に該当します。

(2)- ⑧ 胆のうの障害

ⅰ 胆のうを失ったものは、第13級11号に該当します。

(2)- ⑨ すい臓の障害

Ⅰ すい臓の障害等級の認定方法

すい臓の障害に関する障害等級は、次の通り認定します。

ⅰ 外分泌機能の障害と内分泌機能の障害の両方が認められるものは、 第9級11号に該当します。

ⅱ 外分泌機能の障害又は内分泌機能の障害のいずれかが認められるものは、 第11級10号に該当します。

ⅲ 軽微なすい液瘻を残したために皮膚に疼痛等を生じるものは、局部の神経症状として、第12級13号又は第14級9号に該当します。

Ⅱ 「外分泌機能の障害」

「外分泌機能の障害」とは、以下のいずれにも該当するものをいいます。

a 上腹部痛、脂肪便(常食摂取 で1日ふん便中脂肪が 6g以上であるもの)、 頻回の下痢等外分泌機能低による症状が認められること

b 次のいずれかに該当すること

(a) すい臓を一部切除した人
(b) BT-PABA(PFD)試験で異常低値(70%未満)を示すこと
(c) ふん便中キモトリプシン活性で異常低値(24U/g未満)をしめすこと
(d) アミラーゼもしくはエラスターゼの異常低値を認めるもの

Ⅲ 「内分泌機能の障害」

「内分泌機能の障害」とは、以下のいずれにも該当するものをいいます。

a 異なる日に行った経口糖負荷試験によって、境界型もしくは糖尿病型であることが2回以上確認されること。

b 空腹時幣中のC-ペプチド(CPR)が0.5mg/ml以下(インスリン異常低値)であること

c Ⅱ型糖尿病に該当しない人。

(2)- ⑩ 腹壁瘢痕ヘルニア、腹壁ヘルニア、鼠径ヘルニア、内ヘルニアを残すもの

ⅰ 常時ヘルニア内容の脱出、膨隆が認められるもの、又は、立位をしたときヘルニア内容の脱出、膨隆が認められるも

第9級11号に該当します。

ⅱ 重激な業務に従事した場合等腹圧が強くかかるときにヘルニア内容の脱出、膨隆が認められるもの

第11級10号に該当します。

(2)- ⑪ じん臓の障害

じん臓の障害に関する障害等級は、じん臓の亡失の有無、及び、糸球体濾過値(以下、「GFR」といいます。)による腎臓機能の低下の程度により、認定されます。

Ⅰ 腎臓を失っていないもの

ⅰ GFRが30ml/分を超え50ml/分以下のものは、第9級11号に該当します。

ⅱ GFRが50ml/分を超え70ml/分以下のものは、第11級10号に該当します。

ⅲ GFRが70ml/分を超え90ml/分以下のものは、第13級11号に該当します。

Ⅱ 一側の腎臓を失ったもの

ⅰ GFRが30ml/分を超え50ml/分以下のものは、第7級5号に該当します。

ⅱ GFRが50ml/分を超え70ml/分以下のものは、第9級11号に該当します。

ⅲ GFRが70ml/分を超え90ml/分以下のものは、第11級10号に該当します。

ⅳ 上記「ⅰ」、「ⅱ」、「ⅲ」のいずれにも該当しないものは、第13級11号に該当します。

(2)- ⑫ 尿管、膀胱、及び、尿道の障害

ア 尿路変向術を行ったもの

尿路変更術を行ったものの障害等級は、次により認定します。

Ⅰ 尿路変更術を行ったもの

ⅰ 尿が漏出することによりストマ周辺に著しい皮膚のびらんを生じ、パッド等の装着ができないものは、第5級3号に該当します。

ⅱ 上記「ⅰ」に該当しないものは、第7級5号に該当します。

Ⅱ 尿禁制型尿路変向術を行ったもの

ⅰ 禁制型尿リザボアの術式を行ったものは、第7級5号に該当します。

ⅱ ⅰ及びⅲ以外の尿禁制型尿路変向術を行ったものは、第9級11号に該当します。

ⅲ 外尿道口形成術を行ったものは、第11級10号に該当します。

ⅳ 尿道カテーテルを留置したものは、第11級10号に該当します。

イ 排尿障害を残すもの

ⅰ 膀胱の機能の障害によるもの

(ⅰ) 残尿が100ml以上であるものは、第9級11号に該当します。

(ⅱ) 残尿が50ml以上100ml未満であるものは、第11級10号に該当します。

ⅱ 尿道狭さくによるもの

(ⅰ) 糸状ブジーを必要とするものは、第11級10号に該当します。

(ⅱ) シャリエ式尿道ブジー第20番が辛うじて通り、時々拡張術を行う必要があるものは、14級(準用)に該当します。

ウ 蓄尿障害を残すもの

ⅰ 尿失禁を残すもの

(ⅰ) 持続性尿失禁を残すものは、第7級5号に該当します。

(ⅱ) 切迫性尿失禁、及び、腹圧性尿失禁

a 終日パッド等を装着し、かつ、しばしば交換が必要なものは、第7級5号に該当します。

b 常時パッド等を装着しなければならないが、交感までは不要なものは、第9級11号に該当します。

c 常時パッド等の装着は要しないが、下着が少し濡れるものは、第11級10号に該当します。

ⅱ 頻尿を残すものは、第11級10号に該当します。

「頻尿」とは、次のいずれにも該当するものをいいます。

a 器質的病変による膀胱容量の器質的な減少又は膀胱若しくは尿道の支配神経の損傷が認められること

b 日中8回以上の排尿が認められること

c 多飲などの原因が認められないこと

3 生殖器の障害

(1) 生殖器の障害の種類

生殖器の障害には次のものがあります。

① 生殖機能を完全に喪失したもの

② 生殖機能に著しい障害を残すもの(生殖機能は残存しているものの、通常の性交では生殖を行うことができないものが該当します。)

③ 生殖機能に障害を残すもの(通常の性交で生殖を行うことができるものの、生殖機能に一定以上の障害を残すものが該当します。)

④ 生殖機能に軽微な障害を残すもの(通常の性交で生殖を行うことができるものの、生殖機能にわずかな障害を残すものが該当します。)

(2) 生殖器の障害の判断基準

Ⅰ 生殖機能を完全に喪失したもの

ⅰ 両側の睾丸を失ったものは、第7級13号に該当します。

ⅱ 次のものは、第7級相当とされます。

(ⅰ) 常態として精液中に精子が存在しないもの

(ⅱ) 両側の卵巣を失ったもの

(ⅲ) 常態として卵子が形成されないもの

Ⅱ 生殖機能に著しい障害を残すもの

生殖機能は残存しているものの、通常の性交では生殖を行うことができないものをいいます。

次のものは第9級17号に該当します。

ⅰ 陰茎の大部分を欠損したもの

ⅱ 勃起障害を残すもの

ⅲ 射精障害を残すもの

ⅳ 膣口狭窄を残すもの

ⅴ 両側の卵管に閉塞若しくは癒着を残すもの、頸管に閉塞を残すもの、又は、子宮を失ったもの

Ⅲ 生殖機能に障害を残すもの

通常の性交で生殖を行うことができるものの、生殖機能に一定以上の障害を残すものをいいます。

ⅰ 狭骨盤又は比較的狭骨盤は、第11級10号を準用します。

Ⅳ 生殖機能に軽微な障害を残すもの

通常の性交で生殖を行うことができるものの、生殖機能にわずかな障害を残すものをいいます。

次のものは、第13級相当とされます。

ⅰ 一側の睾丸を失ったもの

ⅱ 一側の卵巣を失ったもの

ご相談のご予約

ご相談のご予約は、こちらから。

〒500-8833 岐阜市神田町1-8-4 プラドビル7A

すぎしま法律事務所 弁護士 杉島健二(岐阜県弁護士会所属)

当事務所は、交通事故の被害者側の損害賠償請求を最重点業務としています。これまで、多くの死亡事故や後遺症のある事故を解決してきました。担当してきた後遺症は、高次脳機能障害、遷延性意識障害(いわゆる「植物状態」)、CRPS、大動脈解離、脊柱や各関節の変形障害・運動障害、むち打ちなどの神経症状など、多種多様です。弁護士費用特約が使えます。

-交通事故

© 2024 すぎしま法律事務所 弁護士 杉島健二 Powered by AFFINGER5