交通事故によるむち打ち症状 ー 損害賠償請求の進め方
岐阜県内の交通事故の被害者救済に、約20年務めてきたすぎしま法律事務所・弁護士杉島健二が、交通事故によりむち打ち症になった場合の、損害賠償請求の進め方などについて、解説します。
むち打ち症とは?
むち打ち症とは、首に急激な力が加わることによっておこる首(頚部)の損傷のことを言います。正式には、「頸椎ねん挫」や「外傷性頚部症候群」などと言われます。
交通事故でも追突事故や衝突事故などに、この症状がおこることが多いです。
具体的な症状としては、首・肩の痛みやこり、頭痛、めまい、吐き気、手足のしびれなどがみられます。
交通事故でむち打ち症になった場合は、どうするか?
交通事故でむち打ち症になった場合には、通常は、整形外科や接骨院に通院して治療を受けます。
その治療の際、加害者側保険会社が治療費を支払うのが通常ですが、一定期間を過ぎると治療費の打ち切りがされます。
治療費の打ち切りがされた場合でも、弁護士に依頼すれば、自賠責保険やご自身の人身賠償を使って治療を継続できることもあります。すぎしま法律事務所でも、そのようにした実績はあります。
むち打ち症の症状がなくならないは、どうする?
約6カ月経過しても、むち打ち症がなくならない場合は、後遺障害であるとして、自賠責後遺障害申請をします。
そのむち打ち症が、画像所見や神経学的検査などで医学的に証明できる場合は、「局部に頑固な神経症状を残すもの」として、12級13号に認定されます。
医学的には証明できないが、症状に一貫性や継続性があるなどして、医学的に説明できる場合は、「局部に神経症状を残すもの」として、14級9号に認定されます。
むち打ち症が後遺障害に認定される場合は、12級か14級
むち打ち症の後遺障害認定の実例
では、当事務所が担当した、岐阜県内のむち打ち症被害者の自賠責後遺障害の認定票を見ながら、むち打ち症の後遺障害の認定のポイントを見ていきます。
事例① ー 12級に認定されたケース
ア 認定票の記載
く結論>
自賠法施行令別表第一第12級13号に該当するものと判断します。
く理由>
頚椎捻挫に伴う頚部痛、左上肢のシビレ、疼痛等の症状については、提出の画像上、椎間板の突出による神経根の圧迫が認められること、また神経学的所見として、後遺障害診断書上、スパーリングテスト左陽性、イートンテスト左陽性の所見が認められていることから、他覚的に神経系統の障害が証明されるものと捉え、「局部に頑固な神経症状を残すもの」として別表第二第1 2級1 3号に該当するものと判断します。
イ 認定票の解説
神経根の圧迫に関する画像所見や神経学的所見があることから、他覚的な神経障害が(医学的に)証明されているものとして、12級に認定されています。
事例② ー 14級に認定されたケースの1
ア 認定票の記載
く結論>
自賠法施行令別表第二併合第14級と判断します。
<理由>
頚部痛については、後遺障害診断書上、「外傷性頚部症候群」との傷病名の記載が認められますが、診断書等より、受傷当初から症状の一貫性が認められることに加え、その受傷態様や治療状況等も勘案すれば、将来においても回復が困難と見込まれる障害と捉えられます。
そして、その等級評価については、提出の画像上、本件事故による骨折等の器質的損傷は認められず、その他診断書等からも症状の裏付けとなる客観的な医学的所見は認め難いことから、他覚的に神経系統の障害が証明されるものとしての評価は困難であり、 「局部に神経症状を残すもの」として別表第二第14級9号に該当するものと判断します。
イ 認定票の解説
まず、受傷当初から症状の一貫性が認められることや、受傷態様や治療状況等もふまえて、将来においても回復が困難と見込まれる障害、すなわち、後遺障害が存在すると認定しています。14級が認定される事案では、症状の一貫性や継続性が重視されます。
次に、画像上の所見や、客観的な医学的所見がないことなどから、他覚的に神経系統の障害が(医学的に)証明されているとは言えないので、12級は認定できず、14級の認定にとどまるとしています。
事例③ ー 14級に認定されたケースの2
ア 認定票の記載
<結論>
自賠法施行令別表第二第14級9号に該当するものと判断します。
<理由>
頚~両肩~背部痛、頭痛、左手のシビレ感、左肩の挙上時痛等の症状については、後遣障害診断書上「外傷性頸肩腕症候群、両肩挫傷」と診断されていますが、提出の画像上、本件事故による骨折や脱臼等の明らかな外傷性の異常所見、脊髄や神経根への圧迫所見はいずれも認められず、また提出の後遣障害診断書および医療照会・回答書上からも有意な神経学的異常所見に乏しいことからすれば、他覚的に神経系統の障害が証明されるものとは捉え難いものの、治療状況や症状経過等を勘案すれば、将来においても回復が困難と見込まれる障害と捉えられることから、「局部に神経症状を残すもの」として別表第二第 14級9号に該当するものと判断します。
イ 認定票の解説
まず、画像所見や神経学的所見がないことから、他覚的に神経系統の障害が(医学的に)証明されているとは言えないとして、12級には配当しないと判断しています。
次に、治療状況や症状経過などを勘案すれば、将来においても回復が困難と認められる障害、すなわち、後遺障害はあるとして14級を認定ししています。
事例④ ー 非該当とされたケース
ア 認定票の記載
<結論>
自賠責保険(共済)における後遺障害には該当しないものと判断します。
<理由>
頚椎捻挫後の頚部から後頭部にかけての痛みについては、提出の画像上、本件事故による骨折、脱臼等の外傷性の異常所見は認められず、また、提出の診断書等からも症状の裏付けとなる客観的な医学的所見に乏しいことに加え、その他症状経過、治療状況等も勘案した結果、将来においても回復が困難と見込まれる障害とは捉え難いことから、自賠責保険(共済)における後遺障害には該当しないものと判断します。
イ 認定票の解説
まず、画像所見や医学的所見がないことから12級の後遺障害は認定できないとしています。
次に、症状経過や治療状況などを考慮しても、将来において回復が困難と見込まれる障害、すなわち、後遺障害は認定できないとしています。
後遺障害のあるむち打ち症の損害賠償の内容は?
では、後遺障害とに呈されたむち打ち症の損害賠償の内容は、どうなるでしょうか。
まず、12級の場合の相場は、慰謝料が290万円で、後遺障害逸失利益は14パーセントの労働能力喪失率を前提として計算されます。
次に、14級の場合の相場は、慰謝料が110万円で、後遺障害逸失利益は、5パーセントの労働能力喪失率を前提に計算されます。
ただし、むち打ちの場合は、労働能力喪失期間が3~5年程度の制限されることが多いです。
すぎしま法律事務所でのむち打ち事案の対応は?
すぎしま法律事務所・弁護士杉島健二は、岐阜県内の交通事故によるむち打ちの事案を、数多く解決してきました。
治療費が打ち切られた場合に、自賠責保険や人身傷害保険を使って治療を継続したり、加害者側の保険会社の示談金を増額させたりしてきました。
岐阜県内の交通事故でむち打ち症に悩んでいる方は、ぜひ、岐阜の弁護士杉島健二にご動産ください。
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