ご家族の方が認知症になったり、交通事故などの外傷により高次脳機能障害や遷延性意識障害(いわゆる「植物状態」)となった場合、そのご本人の代わりに施設入所契約や遺産分割をしたり、損害賠償請求をするときなどに、成年後見人の制度(ここでは法定後見を言い、保佐、補助を含む。以下、同じ。)の利用を考えることになると思います。
しかし、気になるのは成年後見の費用ですね。
そこで、今回は、成年後見にまつわる諸費用についてお話をします。
成年後見にまつわる諸費用としては、
1 成年後見の選任を家庭裁判所に申し立てるための費用と、
2 成年後見人の報酬
の2つがあります。
まず、申立費用です。
申立費用には、
① 裁判所に納める費用と
② 弁護士に申立てを依頼した場合の弁護士費用
③ その他の費用
に分かれます。
① 裁判所に納める費用としては、収入印紙代と切手代があります。
収入印紙は、3400円分(内訳:800円分+2600円分)が必要です。
切手は、3270円分 (内訳:500円×3、100円×5、84円×10、 63円×4、20円×5、10円×6、5円×2、1円×8)が、必要です。
② 弁護士費用は、弁護士や法律事務所によりさまざまですが、当事務所では、10万円から20万円の間が多いです(税別)。
③ その他の費用としては、申立書に添付する戸籍謄本や住民票などの発行費用、鑑定費用や診断書の発行費用、登記されていないことの証明書の発行手数料などです。
2 成年後見人の報酬とは、家庭裁判所の決定により決められる成年後見人の業務成果に対する報酬で
④ 基本報酬と、
⑤ 付加報酬
とに分けられます。
④ 基本報酬とは、通常の後見業務、具体的には本人の財産管理や必要な契約を行った場合に発生する報酬です。
この基本報酬の額は、あらかじめ明確に定まっているわけではありませんが、例えば、東京家庭裁判所の説明によると、
ア 月額2万円をめやすとする
イ ただし、管理財産額(預貯金及び有価証券等の流動資産の合計額)が1000万円を超え5000万円以下の場合には基本報酬額を月額3万円~4万円とし、管理財産額が5000万円を超える場合には基本報酬額を月額5万円~6万円とするとされています。
なお、保佐人、補助人も同様と説明されています。
東京家庭裁判所の説明(ホームページ)は、→ こちら。
⑤ 付加報酬は、身上監護等に特別困難な事情があった場合は、基本報酬額の50パーセントの範囲内で相当額の報酬を付加するものとされます。
また、特別の行為をした場合に、相当額の報酬が付与されることがあるとされています。例えば、交通事故の賠償金を獲得したり、遺産分割で具体的に遺産を取得した場合などです。このような場合の具体的な報酬額やその基準は明らかにされていませんが、通常の弁護士費用(旧日弁連報酬規程)よりは低額となっているようです。
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