医療法人の法的基礎知識

医療法人の種類

 医療法人は、まず財産の集まりである財団と、人の集まりである社団に区分され、さらにそこから色々な種類の医療法人に区分されます。

1 財団たる医療法人

① 特定医療法人

 租税特別措置法67条の2に規定された財団医療法人で、税制上の優遇措置が受けられます。

② 社会医療法人

 救急医療やへき地医療などの公益性の高い医療を行い、収益事業が可能な財団医療法人です。

③ 通常の医療法人

 特定医療法人や社会医療法人以外の、通常の財団医療法人です。

 

2 社団たる医療法人

 社団医療法人は、出資持分の有無という観点から、(1)出資持分のある社団医療法人と、(2)出資持分のない社団医療法人とに区分され、さらにそこからいろいろな社団医療法人に区分されます。

(1) 出資持分なし

① 特定医療法人

 租税特別措置法67条の2に規定された社団医療法人で、税制上の優遇措置が受けられます。

② 社会医療法人

 救急医療やへき地医療などの公益性の高い医療を行い、収益事業が可能な社団医療法人です。

③ 一般の持分なしの社団医療法人
ア 基金なしの持分なしの社団医療法人

 特定医療法人や社会医療法人以外の出資持分のない社団医療法人です。出資持分がないので、社員の退社に伴う出資持分の払戻請求や法人解散に伴う残余財産の分配請求ができません。

 平成19年施行の第5次医療法改正により、社団医療法人の標準モデルが、出資持分がある社団医療法人から出資持分のない社団医療法人に改められたことにより、この類型の社団医療法人が、標準的な類型となりました。

イ 基金拠出型法人の持分なしの社団医療法人

 持分のない社団医療法人で、社団医療法人の活動の原資となる資金調達手段として、基金制度を採用している社団医療法人です。

 持分のない社団医療法人の出資者は、持分払い戻し請求や残余財産分配請求ができませんが、基金拠出型社団医療法人の基金拠出者は、拠出した基金の返還が不可能なわけではありません。ただし、その返還請求権には利息が付かず(医療法施行規則30条の37第2項)、医療法人が解散したときは、他の債務に劣後するとされています。

 平成19年施行の、第5次医療法改正で新設された社団医療法人の形態です。

(2) 出資持分あり ー 経過措置型医療法人

① 出資限度額法人

 社員の退社に伴う出資持分の払戻しや法人解散に伴う残余財産の分配について、払込限度額を限度とする出資持分のある社団医療法人です。

 出資の評価額が、出資後に高額になった場合でも、出資の払い戻しが出資額に限定されるので、医療法人の財産が流出することを防ぐことができ、医療法人の安定的かつ継続的な運営が可能とあります。

② 一般の出資持分ありの社団医療法人

 社員の退社に伴う出資持分の払戻請求や、法人解散に伴う残余財産の分配請求が可能な社団医療法人です。

 出資限度額法人と違い、出資持分の払い戻しや残余財産の分配請求の額に制限がないのが特徴です。

 平成19年施行の第5次医療法改正により、この形態の医療法人は新規設立できなくなりました。

 一般の出資持分ありの社団医療法人は、出資持分のない社団医療法人や出資限度額法人などに移行することができます。

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