遺産分割とは、相続人全員で、被相続人の遺産を分割、すなわち、遺産のうち具体的に何をどの相続人が取得するかを決めることを言います。
遺産分割は、通常、被相続人の遺言書がない場合に行われます。
遺産分割には、通常、以下の問題を解決していくべきとされています。
① 相続人の範囲
そもそも、具体的にだれが相続人なのかを確定する必要があります。
② 遺言書の有無、効力など
有効な遺言書があるかないかによって、遺産分割すべき範囲が違ってきたり、原則として遺産分割できない場合もありますので、この点が確認されます。
③ 遺産の範囲
遺産分割の対象となる被相続人の遺産とは、相続発生時に被相続人の所属していた財産となります。
ですので、これ以外の財産は、遺産に含まれないので、原則として、遺産分割の対象になりません。
④ 遺産の価格の評価
遺産の価格の評価については、
① 法定相続分を修正した各相続人の具体的相続分を算定する段階では、相続開始時の評価とされ、
② 算定された具体的相続分に従って遺産を現実に分割す段階では、分割時の評価とされています。
⑤ 遺産の具体的な分割
遺産のうち、どの財産をどの相続人が分けるかを決めます。
民法の規定
第九百六条 遺産の分割は、遺産に属する物又は権利の種類及び性質、各相続人の年齢、職業、心身の状態及び生活の状況その他一切の事情を考慮してこれをする。
第九百六条の二 遺産の分割前に遺産に属する財産が処分された場合であっても、共同相続人は、その全員の同意により、当該処分された財産が遺産の分割時に遺産として存在するものとみなすことができる。
2 前項の規定にかかわらず、共同相続人の一人又は数人により同項の財産が処分されたときは、当該共同相続人については、同項の同意を得ることを要しない。
第九百七条 共同相続人は、次条の規定により被相続人が遺言で禁じた場合を除き、いつでも、その協議で、遺産の全部又は一部の分割をすることができる。
2 遺産の分割について、共同相続人間に協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、各共同相続人は、その全部又は一部の分割を家庭裁判所に請求することができる。ただし、遺産の一部を分割することにより他の共同相続人の利益を害するおそれがある場合におけるその一部の分割については、この限りでない。
3 前項本文の場合において特別の事由があるときは、家庭裁判所は、期間を定めて、遺産の全部又は一部について、その分割を禁ずることができる。
第九百八条 被相続人は、遺言で、遺産の分割の方法を定め、若しくはこれを定めることを第三者に委託し、又は相続開始の時から五年を超えない期間を定めて、遺産の分割を禁ずることができる。
第九百九条 遺産の分割は、相続開始の時にさかのぼってその効力を生ずる。ただし、第三者の権利を害することはできない。
第九百九条の二 各共同相続人は、遺産に属する預貯金債権のうち相続開始の時の債権額の三分の一に第九百条及び第九百一条の規定により算定した当該共同相続人の相続分を乗じた額(標準的な当面の必要生計費、平均的な葬式の費用の額その他の事情を勘案して預貯金債権の債務者ごとに法務省令で定める額を限度とする。)については、単独でその権利を行使することができる。この場合において、当該権利の行使をした預貯金債権については、当該共同相続人が遺産の一部の分割によりこれを取得したものとみなす。
第九百十条 相続の開始後認知によって相続人となった者が遺産の分割を請求しようとする場合において、他の共同相続人が既にその分割その他の処分をしたときは、価額のみによる支払の請求権を有する。
第九百十一条 各共同相続人は、他の共同相続人に対して、売主と同じく、その相続分に応じて担保の責任を負う。
第九百十二条 各共同相続人は、その相続分に応じ、他の共同相続人が遺産の分割によって受けた債権について、その分割の時における債務者の資力を担保する。
2 弁済期に至らない債権及び停止条件付きの債権については、各共同相続人は、弁済をすべき時における債務者の資力を担保する。
第九百十三条 担保の責任を負う共同相続人中に償還をする資力のない者があるときは、その償還することができない部分は、求償者及び他の資力のある者が、それぞれその相続分に応じて分担する。ただし、求償者に過失があるときは、他の共同相続人に対して分担を請求することができない。
第九百十四条 前三条の規定は、被相続人が遺言で別段の意思を表示したときは、適用しない。
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