解決事例

脊柱の変形傷害と後遺障害逸失利益

事案

バイクを運転していた被害者は、信号のある交差点を黄色点滅信号に従い通過しようとしたところ、左方向から赤色点滅信号であるにもかかわらず同交差点に侵入してきた加害車両と衝突。

被害者は、本件交通事故により第1腰椎破裂骨折を負い、自賠責保険において脊柱の変形障害として後遺障害第11級と認定された。

その後、加害者保険会社は、後遺障害逸失利益を約196万円、後遺障害慰謝料を任意保険上限の190万円などとし、既払い金を引いたうえ、約398万円の極めて低額な示談案を提示した。

訴訟提起

訴訟においては、裁判所から、概要、次の内容の和解案が提示されました。

① 後遺障害逸失利益について

67歳までの20年間について、労働能力喪失率を11級の20パーセントとし、現実の収入額を基礎収入として、後遺障害逸失利益の額を2000万円と認定。

② 後遺障害慰謝料について

420万円としました。

③ 結論

裁判所は、一定の過失割合を考慮し、既払い金を控除するなどして、結論として示談交渉の段階において保険会社が提示した6倍の2400万円の和解案を提示したところ、原告・被告双方受諾し、和解により解決した。

ポイント

1 後遺障害慰謝料について

交通事故の損害賠償の基準については、自賠責保険の基準、任意保険の基準、裁判所の基準という3つの基準があることは、このホームページでも説明していますが、本件は、示談交渉の段階において、加害者側保険会社が、任意保険の基準で算定した低い額での和解案を提示してきた事案でした。

これに対して、裁判所は、任意保険の基準を排し、裁判所基準により、後遺後遺障害慰謝料について420万円とすることなどを内容とする和解案を提示し、加害者である被告もそれを受け入れて解決しました。

このように、交通事故の損害賠償請求においては、訴訟提起をすれば、裁判所が、裁判所基準に従った適正な和解案を提示してくれることを期待することができます。

2 せき柱の変形障害の後遺障害逸失利益

本件のように第1腰椎破裂骨折を負った場合、後遺障害11級に認定されることが多いです。そして、労働能力喪失率は20パーセント、労働能力喪失期間は67歳までとされるのが通例です。

しかし、保険会社は、本件のような変形障害の場合、直ちには労働能力が喪失しないと考えているためなのか、労働能力の喪失自体を認めなかったり、労働能力喪失期間を極めて短期間しか認めない傾向があります。

本件でも、保険会社は、極めて短期間の労働能力喪失だけを認めたので、低額な後遺障害逸失利益の額の提示となったのです。

そこで、このような場合には、訴訟などの場において、労働能力が喪失していることを具体的に主張立証する必要があると考えます。

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