1 医療法の建前
医療法自体は、医療法人の役員がMS法人の役員と兼務することを禁止する規定を置いていません。
2 開設許可の審査に際しての事実上の規制
(1) 原則
しかし、厚生労働省の通知(※1)によると、病院などの開設許可の審査の際、開設申請者が営利を目的とするものでないか否かを審査するにあたっては、原則として当該医療機関の開設・経営上利害関係にある営利法人等の役職員を兼務していないこと、が確認されなければならない、とされています。
そうすると、病院などの開設の際に、その医療法人の役員が、MS法人の役員を兼務している場合に、病院開設の許可が下りない恐れがあるということになります。
(2) 例外
ただし、次の場合(開設者である法人の役員(監事を除く。)の過半数を超える場合を除く。)であって、かつ医療機関の非営利性に影響を与えることがないものであるときは、例外として取り扱うことができる、とされています。
また、営利法人等との取引額が少額である場合も同様とする、とされています。
① 営利法人等から物品の購入若しくは賃貸又は役務の提供の商取引がある場合であって、開設者である法人の代表者でないこと、営利法人等の規模が小さいことにより役職員を第三者に変更することが直ちには困難であること、契約の内容が妥当であると認められることのいずれも満たす場合
② 営利法人等から法人が必要とする土地又は建物を賃借する商取引がある場合であって、営利法人等の規模が小さいことにより役職員を第三者に変更することが直ちには困難であること、契約の内容が妥当であると認められることのいずれも満たす場合
③ 株式会社企業再生支援機構法又は株式会社東日本大震災事業者再生支援機構法に基づき支援を受ける場合であって、両機構等から事業の再生に関する専門家の派遣を受ける場合(ただし、開設者である法人の代表者とならないこと。
※1 「医療機関の解説者の確認及び非営利性の確認について」(平成24年3月30日 医政総発0330第4号 医政指発0330第4号)。この通知の厚労省のサイトは、こちら。
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